書籍情報

住宅不動産の流通革命

住宅 住宅不動産

住宅不動産の流通革命 日本の暮らしはもっと豊かに 富を生み出す事ができる

著者 住宅不動産流通研究会 監修 一般財団法人 日本エスクロー・エージェント協会
定価 1,760円(本体価格 1,600円 + 消費税10%)
ISBN ISBN978-4-904842-06-5 C2034
形式 四六判 356頁

著者 住宅不動産流通協会
不動産流通の活性化をはかることを目的とした研究会
既存住宅に対する流通が活性化しているいる米国の不動産取引の仕組みを日本に導入して実績を上げている会社の事例を学び、住宅不動産の流通を高めていくのに必要な課題克服の解決策を探求している。

監修 一般財団法人日本エスクロー・エージェント協会
高度化・複雑化する不動産取引をサポートすることを目的に、金融・保険・各専門家などの分野を超えたグローバルな人材を育成することで、取引の中立的な役割としての信頼性の高いサービスの提供・社会的信用度の向上をはかり、業界の発展に寄与することを目的として設立された協会

  • ご注文の流れについては、「書籍購入について」のページをご覧ください。
  • こちらの書籍は全国の一般書店、インターネット書店からもご購入いただけます。
    e-honHonya ClubAmazon

資産形成される米国の住宅と負債形成となる日本の住宅との違い
いかなる産業であろうと流通なくして進歩発展はありません。
流通こそ消費者を豊かにする最高の経済活動です。
日本において住宅不動産はまだ流通が発展していません。
消費者が保護され、住宅不動産流通市場が活性化し、そうなることで消費者も業者も国も豊かになる。そのような未来を創る為に何をするか。
この本は、さまざまな成功事例や失敗の事例から「住」をテーマにし、今後の日本がどのようにすれば豊かになれるのかの情報、知識、理論をまとめたものです。(はじめにより)

第1章 不動産流通革命の必要性

  1. 不動産の流通を高める意味
    『情報流通の進化』で誰もが幸せになる
    日本の住宅不動産業界には流通革命が起こっていない
  2. 住宅不動産情報流通の市場理論による富の実現
    ユーザーも業者もさらに富を得られる
    家を買う人にとっての富は、需要の高い家を持つこと
    家を売る側にとっての富は、より高く、より早く売ること
    建設会社・住宅会社にとっての富は、過度な注文仕様や時間のコストを省くこと
    金融機関にとっての富は、金利だけでなく、住宅の値上がり
    行政にとっての富は、各種税収増への期待と国の資産形成
  3. 住宅不動産情報流通が富と利益をもたらす
    日本の住宅総資産は1000兆円前後で横ばい
    米国は年5~8%で住宅資産評価が上昇
    消費者ニーズに応えるために常に競争する
    日米間の不動産流通自由化に奔走する猛者も

第2章 日本の住宅は貧しい

1.日本の住宅の現状
生活費の中での住居費の比率が高い
戸建て住宅では年収の5割も必要?
ローンの途中で売ると大損する仕組み
同じ住宅ながら、新築・既存で異なる流通の仕組み
同じ住宅でも既存住宅というだけで2割減の怪
賃貸住宅には賃貸ならではの限界がある
楽しみや教育投資を制限してしまう住宅ローン
日本の古い時代の住宅は「狭い」という流通上のネックがある
リフォームを低価格、高頻度で行える仕組みが必要
ファミリーレストランのメニューのように標準化されたリフォームが理想
2.流通の仕組みが無いので物件探しが不便
不動産業者ごとに条件がまちまちで同じ基準で選べない
必要条件がバラバラに存在するのでトータルでより良い購入ができない
不動産業界が不透明ゆえ、名前の信頼度が武器になる
不動産業界とお客様の間にはルールのずれがある
居住中の既存物件の内覧は難しい
住宅メーカーも不動産会社も銀行も売り主の立場
買い手にとって理想のパートナーとは
新築、土地、既存、リフォームなど別々の業種となって不便
情報を統合して診断する仕組みがなく、予算オーバーしがち
暮らしの計画を忘れて家を買ってしまうと何が起きるか
いい物件の情報を収集する方法がない
新築と既存が同じ条件で比較できない
買い主にすぐアクセスできれば売り主の利益は高まる
テレビCMや営業マン頼みの日本の住宅販売の実情
3.日本では住宅ローンの仕組みに不備がある
住宅を手放してもローンが残るなど個人にとって不利な制度
購入者が住宅ローンを比較検討できるシステムがない
金融機関の中に、不動産を政党に評価する仕組みがない
住宅地の価値の上下に誰もが関心を寄せるべき
4.古くなったら美しさがない、不便という日本の考え方
クラシックのデザインは古びない
トレンドデザインはリフォームも標準化されず、お金がかかる
汚い→安くしか売れないという負のスパイラル
庭の管理やリフォームを個々に行うため非効率
5.ライフスタイルに住宅が対応していない
年齢に応じて変化するライフスタイルに住宅が合っていない
6.家のデザインがバラバラで街として美しくない
住宅街に、まったく趣の異なる家が立ち並ぶ
窓から見えるのは、自分が思い描く街のイメージと違う家!
居住者のルールは各家庭単位で違う
塀の中しか視線が届かないため、セキュリティも低い
住むということだけに集中している

第3章 米国の素晴らしい住宅地

  1. 米国人は生涯で6〜8回住宅を買い替える
    米国の商業流通は「For the Customer」に徹している
    年平均5~8%という高率で長期的に資産価値が上がる
    緑豊かで美しい米国の住宅街の景観
  2. 美しい住宅街を住民全員で作る
    高価だが、値打ち感がある豊かな米国の家
    自宅の庭から湖にボートを漕ぎ出せる家もある
    自分の収入相応以上の家に住む米国人
    新婚夫婦は、まず1LDK、2LDKクラスの住宅を買う
    1000万円の住宅が5年後には1290万円になる
    ゴルフ場付き、乗馬クラブ付きの住宅街もある
    40年前、アメリカンドリームを目指した街作りが始まった
    美しい景観の中でのんびり暮らしたいという夢を叶える
    目玉となる商業施設を作り、人々を集めて街にする
    タダ同然の土地の上に計画的に街作りしていく
    夢の暮らしを実現させるコンテンツを計画的に作る
    3.流通の仕組みが整っている
    売り買いの情報がすべてオープンになる仕組み
    立地、価格、間取りという3つの制約
    売り主情報を集約するMLSという仕組みがある
    住宅地の評価を上げるための取り組みをするHOA
    プロ経営者が経営するHOAもある
    デベロッパーは、よい街を作ることで競争する
    魅力を増して成長する街
    4.金融の仕組みが整っているので住宅の購入が容易
    米国では不動産を引き渡したら住宅ローンは消滅する
    高く売れる物件だからこそローンを付けてくれる
    市場顧客ニーズはクラシックデザインであり、トレンドではない
    HOAの管理体制にも銀行は注意を向けている
    5.古い住宅でもメンテナンスされているので美しい
    建物がクラシックデザインで、流行り廃りがない
    給湯器の煙突を付けることさえ禁止し、街の美観を保つ
    緑の多さは富の象徴
    リフォームが簡単に安い費用でできる
    建物維持のカギとなる外壁塗装の道具や塗料がそろっている
    DIY感覚だから、外壁塗装を頻繁にすることができる
    集合住宅のリフォームは全戸を一気に行う
    基本性能を満たせば広さを優先する米国の住居
    家の正面にしか装飾をしないという究極の合理性
    いい物件がたくさん市場に出ているため、すぐ住み替えられる
    家族のライフスタイルの変化に対応し、必要となる家も変わる
    6.街として統一されている
    家の配色や演出は、街全体のコンセプトの中で行われる
    住民全員で暮らしを充実させるためにHOAという仕組みがある
    HOAの作ったルールを住民全員がしっかり守る
    美しいオープン外構が犯罪者の侵入を防ぐ
    住宅街の価値を落とさないよう、行政が政策を施す
    7.アメリカンドリームの夢を込めたマスタープラン

第4章 米国のような豊かさを日本で実現するには

1.取引基準などの情報の標準化
2.分業化、専門化によるサービスの質の向上
米国には、住宅の市場価格を形成する力がある
あくなき消費者の不満に答えられる新しいプレイヤー
3.公平かつフェアな不動産情報の集約化
4.ルールの厳守と倫理
5.不動産流通を活性化する仕組み エージェント
医者、弁護士と並び称されるエージェント
一人のエージェントが売り主と買い主の双方に付くことはない
エージェントは依頼人の利益を考えて行動する
情報を一覧できるから、素早く決断できる
日本の住宅業界にエージェントが現れたら
6.エージェントの活動
ファーミングエリアの適性サイズ
広すぎると、耕せない、種を播ききれない
自分のファーミングエリアの事情に精通しておく
7.エージェントはライセンス取得後も定期的にトレーニングを受ける
8.日米教育制度の違い
9. エージェントはハブ
業務の専門性を高め、専門家がしっかり担うようにする
10.住宅不動産取引におけるインスペクターの役割
11.過去から現在までの登記の状態を保証するタイトルカンパニー
12.同時履行の抗弁権を体現するエスクロー
13.最適な住宅ローンを組むための専門家=モーゲージブローカー
有利な融資条件を引き出す
14.決断を促すメンターとしての役割
質問をすることで問題点や不安をあぶり出し、具体的に解決策を提案
15.3つの条件(立地・価格・間取り)
建物購入者が迷う3つの条件の不安に応える
依頼人の希望を100%満たす物件はありえない
自分の人生は自分で決断するという自己責任意識を持つ
16.リピートで成り立つエージェントの活動
17.エージェントの手数料は売り主負担
18.人と人の情報と心の架け橋となるニーズ確認の電話
19.誰から依頼を受けるか?
エージェントは依頼人を選ぶ
エージェントは依頼主に欠かせぬパートナー
20.流通を活性化する仕組み
1970年代まで米国も売り情報を抱え込む日本と同じだった
MLSとは業界のプロのための団体
MLSの3本柱はデーターベース、規約、鍵システム
多くのMLSが地域ごとに設けられている
多くの業務に利用可能な一本化、集約化されたMLSのデータ
電子キーボックスが内覧に要する時間と作業を短縮
電子キーボックスの仕組み
スマフォとの組み合わせで、交渉や判断の材料を得られる
いつ誰が売り出し中物件のドアを開けたかが分かる
物件内覧時は無人がベスト?
電子キーがない物件は、MLSに載っていないのと同じ
21. 住宅を提供する企業やエージェントの正しい考え方
エージェントは常に依頼人の利益を考える
同じ組織や企業でも、一人ひとりが経営者として活動

第5章 日本で住宅流通を活性化する仕組み

1.住宅不動産流通を起こす
日本の住宅産業は「競争していない状態」
住宅不動産の競争の考え方の間違い
住宅でもっとも大切なロケーション
情報の分散、評価軸の複雑さゆえ流通が阻まれる
2.日本でも成功したエージェントシステム
エージェントとリフォーム会社との連携で成功
3.国策として推進を始めた日本の住宅不動産流通革命!
4.住宅流通活性化事業など具体的な施策が始まっている
5.行政による既存住宅流通活性化の取組み
自社の分譲住宅を既存と同列に位置づけるディベロッパー
6.サスティナブルハウスという思想
エンドユーザーのより便利にというニーズを汲む
デザイン・構造・価格がサスティナブルの条件
7.サスティナブルハウスとダイバーシティ
8.米国に倣い住宅とは〝資産を高めること〟を前提の考え方に変える
9.ライフスタイル中心の人生が送れるのが最大の豊かさ
10.売ることを前提として住宅を購入する
11.10年周期で変化するライフスタイルに合わせて売り買いする
12.現在のマスタープラン
100軒の家を一括して設計し、製造も集約して行う
500分の1の経費でゴルフ場のオーナーになった
日本版HOAを作り、住宅地経営に乗り出す
優れた住宅地には、ダウンタウンの企業も越してくる
行政主導で、二束三文の土地に街を出現させる
住宅政策、商業政策、交通政策を一体的に行う
計画、大量生産、評価という循環で価値の高い住宅地を実現

第6章 こうすれば豊かな住環境ができる

1.不動産情報の集約の徹底とポケットリスティングの禁止を実現する罰則規定
2.業界全体の作業改革、専門家の分業化の実施、社会の損失が無くなる作業改革
3.所有者個人情報の見直し、不動産情報における専門家への情報開示
4.不動産評価額による金融機関のローンの見直し
5.倫理教育、エージェントの普及教育の支援
6.計画的な都市計画 都市経営の推進